揚妻 博之
「Bhel」
2023年4月18日(火)〜 4月29日(土・祝)休廊日無し
13:00-19:00
HIGURE 17-15 cas
〒116-0013 東京都荒川区西日暮里3-17-15
(JR山手線・京成線「日暮里駅」北口改札西口徒歩6分、JR山手線・東京メトロ千代田線「西日暮里駅」徒歩6分)
※作家在廊日は18日(火) 〜 20日(木)、28日(金)、29日(土・祝)。
ドイツ語で明るいを意味する’hell’は、英語において感情を表す言葉だったり地獄を意味する。’Bhel’は、印欧語根* において輝きや明るい色を指し示したり、繁栄や咲くこと、膨らむもの、あるいは焼けこげるものや血、黒、空白だったりを意味する。語根や原郷を調べると、私たちの知覚や思考は、言語や音韻、また生きてきた環境と密接に関わっていることがわかる。そして表現は、時間の軸と事の在り方を操作する中で言葉を探し、想像を押し広げる。
昨年まで過ごしたベルリンでの体験は、作品の制作と生活に深い影響を及ぼした。目の前で起こる不可解な出来事や耳を囲うような音から、死を宣告されたようだった。同時に自分が立っている場所について、人の営みを長い時間軸で深く考えさせられることになった。帰国して、色や光に纏わる言葉を探している時に’Bhel’と言う言葉に出会った。響きからすぐに事の表裏やパラレルに続く時間を示しているように思えた。明るさは空白の中にあり、焼け焦げることもあるだろう。一度人間の目に映った光や聞こえた音は、今もなお説得されず現前でざわめいている。
* 印欧語根とは、18世紀末から比較研究の分野でヨーロッパ・インドの地域の諸言語を体系的にまとめた印欧語族から、それを理論的に再構成した仮想の言語である印欧祖語の語根をパターンでまとめたものである。
揚妻 博之
揚妻 博之
1978年 山形県生まれ。2011年 東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。2011–13年 ドイツ・シュトゥットガルト美術大学在籍。2022年 ドイツ・ベルリンより帰国し、山形に在住。実存的な美学と同時性や異なる時間レベルでの物事の一致に関心を寄せている。主な展覧会として、個展 2022年「ハート」スプラウト・キュレーション (東京)、 2019年「10日前の砂」シャトー小金井ビルBF (東京) 、2018年「子午線」BUoY (東京)、グループ展 2017年「Global Forest 2017」ザンクト・ゲオルゲン (ドイツ)、2016年「Temporäre Kunsthalle Neukölln」Parkdeck 5 in Neukölln Arcarden (ドイツ)、2015年「Letschebach Istanbul Project」イスタンブール (トルコ) など。