
山根一晃
「処処の内で、オレンジ、かくかくのもの」
2025年9月17日(水) - 9月29日(月)休廊日無し
10:00〜18:00
HIGURE 17-15 cas
〒116-0013 東京都荒川区西日暮里3-17-15
JR山手線・京成線「日暮里駅」北口改札西口より徒歩7分
JR山手線・東京メトロ千代田線「西日暮里駅」より徒歩7分
東京メトロ千代田線「千駄木駅」より徒歩7分
Yamane Kazuaki Solo Exhibition "Inside each field, Orange, Manifold things"
Venue: HIGURE 17-15 cas, 3-17-15 Nishinippori, Arakawa-ku, Tokyo 116-0013
Dates: September 17 Wed – September 29 Mon, 2025
Open Hours: 10:00 – 18:00
HIGURE17-15casは、9月17日(水)から29日(月)まで山根一晃 個展 「処処の内で、オレンジ、かくかくのもの」を開催します。
山根は、言語と芸術の関係を問題とするコンセプチュアリズムを、実在論あるいは言語論的転回以後の反実在論として引き継ぎながらも、言語の意味生成とその実在性の問いにとどまらず、物質と非物質、作者と鑑賞者が、空間的時間的条件を超えるさまざまな状況や領域において、出来事・もの・概念として現れる意味とその実在性の問題へと拡張させます。場とそこに内在する部分的な対象との関係によって変化していく個々の意味とそれらの共可能性に注目し、芸術と美的対象、その他事物の存在論を軸にして制作を行なっています。本展では、芸術家の意図や技術による所産と、微視的な生物から天体の運行にいたる自然の種々雑多な複合的連関による所産の対比を通して、意味の無限性について考察されます。是非この機会にご覧いただければ幸いです。
「処処の内で、オレンジ、かくかくのもの」
い.
水を意味するその土地は、熱帯気候に属し高温多湿で雨量が多い。雨季には大量の雨が降りブラマプトラ川が氾濫することもある。250万年前にこの創造神の息子に見守られながら、均一な個体集団から分岐、あるいは異なる個体間の交雑によって、それは創発した。果実が熟し地面に落ちると、鳥や小型哺乳類が厚い果皮を破り、大きな種子は散布されていく。雨季の水分と20〜30℃程度の気温により発芽が誘発され、2〜4週間で胚軸が伸び緑色の子葉が展開する。子葉は比較的大型で光合成能力があり、初期成長を支える。この時期の成長は緩慢で、直根を深く伸ばし、側根を発達させる。害虫や乾燥に弱いが、林床の半日陰や湿潤な環境に守られ定着していく。3〜6年ほどは環境から得られる充分な栄養によって成長し、枝にトゲを発達させながら樹形をつくる。樹高が2〜3mを超える頃、季節的な乾燥と雨季の切り替わりを契機として開花する。花は、白色の小花が葉腋に数個まとまっており芳香を放つ。この香りに誘引された訪花昆虫の介入により受粉。受粉後、果実は6〜9ヶ月かけて肥大し、直径3〜5cm程度の歪んだ球形の橙色の実をつける。
ろ.
夜が明ける。窓から幽かにそよ吹く風の生温かさと、寝巻きのTシャツをじっとりと濡らす汗の気持ち悪さで目が覚める。この時分は、毎日がこんな感じなものだから、朝からシャワーを浴びる羽目になる。シャワーヘッドの散水板の穴が詰まっているのか、お湯の出が散漫だ。ボウルにシリアルを入れ、牛乳を注いで食べ、家を出る。照りつける陽射しを憎らしく思いながら車に乗り込みスタジオへ向かう。洪積台地を南に下るにつれ、窓から見える景色は商業地域から住宅地域、工業と農用地区が隣り合う地域へと移り変わっていく。スタジオに着くと作業着に着替えポータブル・ラジオをつける。椅子に腰掛け、陽気なパーソナリティの良くも悪くもない軽薄な知らせに耳を傾ける。昨晩、張っておいたキャンバスに目をやりながら、もはや1/fのゆらぎかもしれないその戯言が心地よくてまた寝てしまう。絵を描き始める前、いつも決まって眠くなってしまうのはなぜだろう。今日二度目の覚醒。バーミリオンとパーマネント・イエローを紙パレットの上に出し、8対2の割合で混ぜる。6号の豚毛の筆を手に取り、キャンバスの上に歪んだ円を描く。
山根一晃
主なグループ展
2025「Ambiguous Intentions」Sculpture Centre / 東京
2022「メディウムとディメンション : Liminal」柿の⽊荘 / 東京
2021「現代地⽅譚8 - アーティスト・イン・レジデンス須崎 -」すさきまちかどギャラリー / ⾼知
2019「N/N/Y と納屋の幽霊たち」CAVE - AYUMI GALLERY / 東京
2018「野分、崇⾼、相模原」相模原各所 / 神奈川
2018「helen at the mountains」てつおのガレージ / ⽇光
主な個展
2024「⼗⼀⽇⽬ - 多境域 - 新たな語り部を待ちながら」デカメロン / 東京
2019「パースペクティブ / 結節点 / ⾏為あるいは作⽤として」CAPSULE、SUNDAY / 東京
2015「after "the riverrun the”」XYZ collective / 東京